銭湯お遍路102湯目 滝野川稲荷湯@北区 東京

一週間ほど前に高田純次の「じゅん散歩」を見ていたら、この銭湯が映った。えっ?知らんと思った。

2019年に国の有形文化財に指定されたらしい。他の銭湯では確か上野の「燕湯」だけ。調べてみると、映画の「テルマエ・ロマエ」にも使われたらしい。さらに2020 年版「文化遺産ウォッチ」にも選定。これは、ワールド・モニュメント財団の緊急に保存・修復などの措置が求められている文化遺産とのこと。

有形文化財なら今後ずっと変わらないので、急いで行く必要もない。しかも、サウナはない。でも、自称銭湯研究家としてここに行っておかないと「もぐり」や、とこころがざわつく。 てなことで行ってきましたよ「滝野川稲荷湯」。

写真のように昭和の東京らしい、ザ銭湯。宮造りで、上の三角の屋根がちょこんとして両脇に伸びていない「千鳥破風」(ちどりはふ)という形式の屋根。大正時代に創業し、昭和5年に今のカタチになったらしい。昔から掛かっていそうな稲荷湯の看板は、実は映画のセットで美術さんが作ったらしい。撮影が終わって外そうとしたところ、お願いして譲ってもらったのこと。

都営線の西巣鴨を降りて、ほんの少し遠回りになるが、旧中山道も見たかったのでそちらを見学。滝野川銀座の旗が連なっているが、ちょと閑散とした何の変哲もない商店街。北品川の旧東海道みたいに、もっとアピールすればいいのにと思う。和宮様が京都から江戸に輿入れするときに中山道を通られたんですから。

行き過ぎたかなと、ふと右の細い路地を見ると、ありました「稲荷湯」の看板が。最短で行くと徒歩6分らしい。昔ながらの結構細い道幅で、銭湯を写そうとしてもかなり広角じゃないと全体が写せないほど。

男湯に入ると、番台があり女将が座ってる。まあ、番台が男性だと今どきセクハラやな。床は磨き上げられていてピカピカ。こういう古くて清潔感があるお風呂は落ち着く。今どきはある意味銭湯自体が贅沢だし、非日常感があって心が開放される。 手ぶらセット(120円)と言うと、ボディーソープのボトルと手ぬぐいを使ってくださいと無料で渡される。ありがたい。でもシャンプーはない。じゅん散歩で知りましたとかちょっと会話しながらスタンプをもらう。すごく喜んでくれる明るくいい感じの女将さん。帰りに知ったが、ドライヤーまで無料。僕の場合は、10秒で事足りるから結構ありがたい。

ガラガラ、浴室内に。普通の洗い場に正面に富士山のペンキ絵。スカッとした富士山。中島盛夫氏だな。サインを見ると正解!丸山清人氏と交互に書いているよう。

ボディーソープを置いてラベルを見ると「ビブレu」子供用のボディーソープで、これなら頭も洗えるな、なるほど。これ一本でいい。まず、体を清める。ふと見ると床のタイルは新品ぽくきれいで気持ちいい。桶は木にこだわっているらしく本物感がある。昔はどこの銭湯でも新年にお客さんに対してのお年玉として、新しい桶にする習慣があったらしい。

さて、お湯。45度、41度の白湯と39度のシルク湯。2014年12月のリニューアル時に、ぬる湯の浴槽を設けたらしい。昔は、熱湯だけ。熱いお湯をお客が蛇口の水を出して、ぬるめながら垢を流していたらしい。今は、ろ過装置があるので高温にする必要がないが、好きな人が多いので45度を残しているとのこと。

まず、サウナーですからその45度の熱湯に入る。熱い!でも、なにごともなかったようにゆっくりと退散。気泡が出ているので余計に熱い。ピカピカな透明なお湯。シルク湯と普通の湯にゆっくり浸かって、もう一度熱湯に挑戦。今度は、じっくり入れた。そして、少し洗い場で休憩する。クセで「ととのい」そうになる。お風呂だけでととのう人もいるらしいなあ。でも、ととのいはせず。これで帰るのはあまりにももったいないので、熱湯に入るのを繰り返す。

いや〜久しぶりのお風呂だけだったけど、気持ちよかった。缶ビールは、スパードライ、一番搾り、黒ラベルがあり、もちろんスーパードライをグビグビ、プファ〜。350ml、270円。 銭湯料金は都内均一で520円。

で、隣に以前従業員の住まいだった長屋をリニューアルして、スペース貸ししているらしい。昔は手洗いで従業員が大勢必要だったらしい。いまではポリッシャーとか機械で洗うので少人数で済むらしく、長らく使っていなかったのを有形文化財登録と合わせてリニューアルされた。

テレビでは東大の大学院に通っている白人さんが店主で喫茶店をやっていた。というわけで、そこで、もういっぱい飲みに行くことに。でも、今日はだれもお店をやっていませんでした。残念。

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